======================================================= 縛り作譜コンテスト〜Grand Finale〜 全作品感想&選曲総評 ======================================================= 【執筆者】 izkdic @ 不参加勢 【概要】 第19回縛り作譜コンテストに投稿された全25作品について、 1作品あたり3行程度で簡単に感想を書き綴ったものです。おまけで選曲総評がついてます。 基本的に良かったと思ったことしか書いていません。ダメ出し歓迎の方はごめんなさい。 以下、100行程度の改行の後に始まりますので、問題ない方は下へスクロールしてください。 No.01 じんかさん☆ あえてのスタッフロール\(^o^)/ これは盲点だった。 ゆるく作られていて躓きやすい部分がなく、譜面も短いので、 左手と右手を別々に動かすことに苦戦している初級者の練習に最適だと思います。 僕がぽっつべ初心者の頃は★4あたりが登竜門でしたが、 その1つ手前の譜面としてとてもよくできていて、初心を感じました。 No.02 takenokoさん 音に沿っているかと思ったらそうでもなかったり、片側によらせた配置など、 独特な感性をもって作られた譜面だという印象でした。 楽曲的にリズム譜もいい感じに合うので、心地よく楽しめました。 No.03 516さん☆ 8分を主体とする譜面ですが、楽曲の雰囲気と配置でうまく棲み分けされていて、 バリエーション豊かな譜面でした。その中の軽い16分も映えますね。 片手の同時押しが実に効果的に使われていてとても心地よかったです。 サビ前半の黄色を使わない→黄色あり同時4連の流れがお気に入りです。 No.04 らー★忍★⇒さん ピアノとパーカッション(とアコースティックギター)をフィーチャーした譜面、だと思っていました。 装飾音符も非常にいい味を出していてよかったです。 サビ前の盛り上がっていく演出がとてもいいのですが、サビがえぐい\(^o^)/ No.05 Fly-Skyさん☆ とてもだんおにっぽい譜面でした。赤ノートの使い方とか。 Bメロの単発赤がすごくいいですね。とてもリズミカルです。 これくらいの速度の譜面の中級的な楽しさを存分に味わえる作品だと思いました。 No.06 Khibineさん 同時押しをサビ頭だけに絞ってるのかーとおもったらそんなこともなかった。 この難易度で進めると3番Bメロのピアノ配置がとても映えますね。 緩やかなだけに、隠しボーナスによる演出も効果的でした。 個人的には1番Bメロのバスドラム2連を散らして追う配置が好きでした。 No.07 votumさん☆ 非常に丁寧な譜面でした。装飾音符とそれ以外がきっちり区別されて置かれているのが好印象。 配置自体も打ちやすく、曲の賑やかさも相俟ってとても楽しくなれる譜面だと思います。 それにしてもvotumさんの譜面、だんおにっぽくなりましたね(謎 No.08 thurshiさん パーカッションが分かりやすくシャッフルしているので、 そこにフィーチャーした配置が良かったです(Bメロとか)。 MondayからFridayまで、で黄色を軸に譜面の意識が右に向かっていくのはニヤリとしますね! No.09 SKBさん いろんな音に意識を向けながら様変わりしていく、という譜面でした。 ところどころのキメがきっちり決まっていて好印象。 ラスト前(2間奏後)の配置がとても気持ちよかったです。 No.10 redlineさん ハープ意識(?)の装飾音符4連が印象に残る譜面でした。 すらっと流すと打ちやすいだけの譜面になりがちなのでこのアクセントは重要ですね。 他、4つ程度の同時押しが出てきますが、取りやすいように誘導されていて良かったです。 No.11 utuboさん 後半\(^o^)/ 追い詰められながらも、この曲のテンションがよく反映されていたと思います。 ブレイク(?)前の配置がキラリと光るほか、序盤の7連打ラッシュも気持ちよかったです。 最初は3、2、1、Go!的なニュアンスでしょうか。 No.12 らーさん この密度できたならあと2小節がんばってー\(^o^)/ 曲の要素を追いながら組み立てるとこうなるかなって思える譜面でした。 アコースティックギターの32分も綺麗に配置されていて、 特にAメロの中間にある「テケテケテーン」が良かったです。 No.13 たかあすさん 裏拍表現が豊富で楽しい譜面でした。 乱打が目を引きますが、8分同時の使い方が絶妙でしたね。 乱打についても一見カオスですが、打ちにくくならないよう配慮されていてよかったです。 No.14 ワナカゼさん 上級者が思うがままこの曲で作るとこうなるよなー、という譜面でした\(^o^)/ ブレイク(?)の8分が表じゃなくて裏を拾っているのが個人的に嬉しかったですね。 No.15 K1さん 程よく難しい配置があり、まさに「慣れてきた人向け」の難易度でした。 イントロがすごくよかったです。黄色絡みの隣接同時って難しいですしね。 往々にして打ちやすい方が気持ちいいですが、こういう印象の付け方もあるんだなと感じました。 No.16 onnoさん パーカッションを主軸に構成されたことがとても分かりやすい譜面でした。 アピールポイントが明瞭な譜面は遊んでいて楽しいですね。 特に1番中の間奏にあるスネア重視の配置がとてもよかったです。 No.17 chipさん☆☆☆ さすがchipさんという感想しか出てこない譜面でした。フル制作なのにシャッフル含む音取りも完璧! 明確にシャッフルだと分かるパーカッションのはさみ方も絶妙。配分も理想的。 さらにサビの4小節目にある半音上がりをいろんな形で提示していたのがもう最高でした。 縛コンのグランドフィナーレに相応しい全力投球でした。お見事。 No.18 むーんたるとさん☆ こういうアプローチがあるのか、と思わず唸った作品でした。 サビの疾走感を演出するための伏線としてのAメロの組み方が素晴らしいです。 その伏線を回収するかのようにサビの8分連打はとても爽快でした。 No.19 MFV2さん☆ Mission Failed...(X配置) というのはさておき、曲に合わせてとても盛り上がれる譜面でした。 主旋律を追うとカオスになりがちですが、この譜面では伴奏の8分主体のセクションがあり、 それらがいい感じの清涼感を演出していたと思います。ラストの締め方もFantasic! No.20 たいようさん☆ 曲の展開に盛り上がりを追従させるという方面で実によくできた譜面だと思いました。 最初に置くノートが最小限なのがとてもよかったです。 また、塊が単発的にやってくる部分がとても印象的でした。追い方も絶妙でしたね。 No.21 もっぺさん 8分主体の同時押しとそこに混ざる16分が気持ちいい作品でした。 考えなくても打てる、親しみやすい譜面だったと思います。 余談ですが、[EL]というのが実に「微妙な距離」でニヤリとしましたね。 No.22 旅人Bさん 同時押しが多く、ややテクニカルな印象を受ける譜面でした。 あくまで個人的にですが非常に印象的だと思っているストリングスをフィーチャーした部分があり、 親しみをもてる作品でよかったです。いいぞ、もっとやれ。 No.23 セツナさん 感性重視というよりは勢い重視という印象を受けました。 3つ押し+αの配置がとても綺麗で良かったです。 個人的にはイントロのピアノを浮かせた8分交互が好きでした。かなりマニアックな注目点だと思いますが( No.24 eafyさん 絶え間なく襲いかかるラッシュを次々さばいていく感覚がやみつきになる譜面でした。 楽曲的にはこれくらいはっちゃけてもなんともないですよね。 実力的な都合で細部までは味わえていないのですが、勢いに任せるのが一番いい楽しみ方なのかな、とも。 No.25 丈さん とても遊びやすく親しみやすい作品でした。 意識している音も分かりやすく、表現もしっかりしていてよかったです。 Aメロの空白の多い前半、8分連打の後半の対比が心地よかったですね。 【投票(敬称略)】 3票(1名) ・chip 1票(7名) ・じんか ・516 ・Fly-Sky ・votum ・むーんたると ・MFV2 ・たいよう 【選曲総評(私見です)】 ・アイネクライネ(作譜難易度:★★★☆☆ / 87bpm) ナハトムジーク、ではありません。Lemonと同じテンポなんですね。 低速タイプですが、決して盛り上がらない訳でもなく、要素としては32分も多々出てきます。 どういう譜面にするのかを事前に頭に思い描いていないと形にするのは難しいでしょう。 特に「アピールポイントをどこに据えるか?」がこの曲の場合非常に重要だったと思います。 低難易度にすると間奏などの複雑(で魅力的)な音を追うことができず、 かといって間奏を拾おうとするとBPM倍取りが必要でフル制作が不可能になるという、 別の意味で制作者泣かせの曲だったかもしれません(4/3倍なら収まるかも)。 ・ODDS&ENDS(作譜難易度:★★☆☆☆ / 192bpm) フル作譜しないなら1番終わりまでより、2番から最後までの方が映えると思うんですがどうでしょう。 それはさておき、高速8分系の中でどれだけ工夫ができるかが問われる楽曲でした。 愚直に作ると完全にありふれた譜面内容になってしまうだけに、 各制作者の創意工夫をいろいろな部分で見ることができてよかったです。 作譜自体は要素が分かりやすいのでそこまで難しくはないと思います。 巡回する立場としては、密度も低く工夫もしづらい最初の28小節(35秒)が暇になりがちでした。 この部分にも個性は見えるんですけどねぇ。 ・La Primavera(作譜難易度:★★★★★ / 132bpm) わかりやすすぎる地雷枠。まずシャッフルかそうでないかの見極めが難しいのが1つ。 パーカッションは基本ずっとシャッフルですが、ボーカルパートは12分、16分、24分がそれぞれでてきて、 それらを正確に譜面に反映することが最初の関門だったと言えるでしょう。 また、おそらく生演奏のヴァイオリンはメインは16分ですがタイミングが怪しい部分もあり、 そのあたりを時間内に正しく取るだけでも賞賛ものです。 実際、正しく取れているのは唯一のフル制作を成し遂げたchipさんただ1人でした。 2時間で譜面を作る曲では決してありません。 ・オトモダチフィルム(作譜難易度:★☆☆☆☆ / 158bpm) おそらく一番形にしやすいのがこの曲だったと思います。 ゆるやかな8分譜面と相性がいいので、それを軸に据えればさくさく組めたのでは。 逆に工夫できないと凡庸な内容になりかねないので、そこをどう工夫できるかが腕の見せ所でした。 この曲のストリングスは要素勢としては魅力的に映るんですけど、 残念ながらサビの4連ストリングスをがっつりフィーチャーしている譜面はありませんでした。 他、「君にひとつ伝えときたいんだ」のところに1つだけノートを置くとか、 プレイしながら聴く分にはいろいろと発想が出てくる曲でしたね。思うだけなら自由。 ・Snailchan Adventure(作譜難易度:★★★★☆ / 174bpm) てんやわんや系。正しく拾えばそれだけで形にはなりますがカオス必至。 そこをどう工夫して見せていくかという、他の曲とは異なる工夫が問われる曲でした。 とはいえ、この音の応酬を正しく拾うだけでもかなりの難易度であるため、地雷曲の1つでしょう。 伴奏に逃げればそこそこ8分のフレーズを作れるので、 それをどういう塩梅で組み込んでカオス成分を下げるかが焦点になったでしょうね。 個人的には、あえてこの曲で簡略ベースのリズム譜を作って中難易度にまとめた譜面を出した人がいたら、 「こやつ、なかなかやりおる」という畏敬のまなざしを向けることになったかもしれませんが、誰もいませんでした。 ・Snailchan Adventure〜スタッフロール〜(作譜難易度:☆☆☆☆☆ / 128bpm) 楽曲が40秒ほどしかなく、本編とは異なりBGM的な内容であるため、 音ゲーとして目立たせられる点がほとんどなく、作譜は易しいですが工夫の余地が皆無。 こちらに注目すること自体が発想の勝利です。譜面内容について深く考えてはだめなのさ。 【終わりに】 だんおに制作者だった僕がぽっつべの世界に足を踏み入れたのが、2014年2月。 信じられないことにもう6年近くが経つんですね。 その後、ありがたいことに第12回縛り作譜コンテスト(2014年9月)にて優勝を果たすことになり、 それ以来は「しばこんレジェンド」として、恐れ多くも主に投票に携わっておりました。 僕は最初の頃は、縛り作譜コンテストというものに対して懐疑的でした。 「譜面制作者(としての自分)は、楽曲に対して常に全力でなければならない」という考えをもっていたためです。 いえ、もっていたというのは不適切ですね。今もそういう考えです。 この考えは、僕の譜面制作の根底にある考えの1つでもあります。 そのため、2時間という時間制限、しかも課題曲制というのを見て、 こんなのではまるで楽曲に対する「愛」は感じない、ふざけてるのか、と思いました。 しかし、とあるきっかけからレジェンドになり。 投票する立場としてコンテストに関わっていく内に、僕のこの思いは間違っているのではないかと思い始めました。 2時間、あるいは他の制限にあえて自分の身をおくことで、ピークパフォーマンスを発揮しているのではないか、と。 限界に置かれた人間のパワーはすさまじいです。それは発想力にもいえることだと考えています。 むしろ、縛られることでよりよい作品を作る、ドM集団なのでは? そういう思いが芽生えてから、このコンテストへの見方は少しずつ変わっていきました。 (それでも僕はじっくりと時間をかけて好きな曲でやりたいという思いが基底にあるので、  参加したのは実質自由曲制で時間制限も緩かった2回のみでしたが) 縛り作譜コンテストはイベントではなく、硬派なコンテストだというのを身を以て実感しました。 時は流れ、今回で縛り作譜コンテストは最終回を迎えます。 そして、2011年4月に始まり、作譜できる楽曲の幅広さと作譜の簡単さから人気を博したPop'nTubeも、 あと1週間ほどで終わりを迎えようとしています。 「管理者がいなくなると界隈そのものがなくなる」というのは集中管理型の最大の弱点で、 間口の広さの代償でもあったといえましょう。 僕がぽっつべに投稿した作品は、合作や別名義などを合わせても(多分)せいぜい38ステージです。 複数譜面も多かったので、曲数で言えばもっと少なくなります。 晩年期は関わりも薄かったため、正直ぽっつべ勢であったとはお世辞にも言えないでしょう。 それでも、1つの界隈が終わるのを見届けるのはさみしいことです。 熱中するほど楽しんだ作品もありました。それらが遊べなくなってしまうのはとても悲しいことです。 2年以上にわたるサービス停止期間があっても、ぽっつべに携わる方々の熱意が衰えることはありませんでした。 そして今、終焉を迎えようとしつつも、新しいステージが公開されています。 すさまじいことです。 1つの輝いた界隈への手向けとして、こうして書き記したいと思います。 今後どうなるかはわかりません。 譜面データの抽出はできるようですが、データだけ抽出できてもシステムがないと遊べませんし、 同じシステムを仮に有志複数名で運用するにしても、お金も時間もかかりすぎます。 それこそクラウドファンディングの形でお金をまかなっていく必要があるかもしれません。 実質開発が止まっているHTML5版ぽっつべの開発権を誰かがpoliGさんから委譲してもらえれば、 システム的にはなんとかなるのでしょうか。 そんなわけで、似非ぽっつべ勢のひとりごとを終わりたいと思います。 こんなところまでご覧いただきまして、ありがとうございました。 「レジェンド権」を誰よりも活用できた(自称)ことをひそかに嬉しく思っているizkdicより。