<DEEMO -Reborn-(Switch)> 発売日:2020年12月17日 ジャンル:リズムアドベンチャー 価格:2600円 プレイ時間:クリアまで10時間程度。それ以降は音ゲーなのでいくらでも。 有料DLC:あり 2013年にRayarkより発売された音楽ゲーム「DEEMO」のリメイク…… として2019年に発売されたPS4版「DEEMO -Reborn-」の移植作。 同移植としてはSteam版があるほか、 この翌日には逆輸入される形でiOS、Android向けにも配信された。 以下ではSwitch版について言及。 【原作との違い】 原作にもあった「城を探索するアドベンチャーパート」が3Dで完全リメイクされ、 謎解きアドベンチャーとしての側面が非常に強くなった。 原作のシナリオの各所で挿入されたムービーも3Dに。シナリオを進めるとオリジナルのムービーも見られる。 細かい描写に違いはあるがストーリーの大筋は共通。周回要素はなし。 【音楽ゲームとして】 タッチ操作とコントローラ操作の2パターンの操作方法があり、譜面が異なる。 タッチ操作の譜面は原作と同じ。Easy、Normal、Hardの3難易度があり、Extraは収録されていない。 操作自体もSwitch版DEEMOと同じだが、ボタン操作はできなくなっている。 (原作に存在しない新曲は新しくタッチ操作用の譜面が作られている。iOS、Android版と同一譜面だと思われる) コントローラ操作の譜面はPS4版と同じで、こちらも同様に3難易度収録。 実質6レーンに分かれており、デフォルトでは←↑→YXAで操作する。 ↑XはLRでも操作でき、設定で↓Bに変えられる。スライドはスティックをノートが連なっている方向に倒す。 収録曲数は2021/1/27時点で(有料DLCを除いて)122曲。 うち、66曲がストーリーや謎解きの報酬で解禁されていく「ストーリー楽曲」で、 56曲はそれとは別に収録されているプレイ用の楽曲群。 ストーリー楽曲のうち、28曲はReborn初出曲。うち5曲はオリジナル側へ移植されたが、23曲はReborn専用。 プレイ用楽曲はPS4版の有料DLCとある程度共通しているが、全く同じではない。 また、現時点ではおそらく全ての楽曲が原作のDEEMOに収録されていると思われる。 スコア等の算出ルール、判定等は原作と同じ。 原作ではピアノノートと無音ノートの見た目が異なっていたが、本作では見た目が同じになっている。 【謎解きゲームとして】 音ゲーに付随する謎解きなんて所詮はおまけ程度……と侮るなかれ。 本作の謎解きは内容面でかなり気合いが入っており、難易度も中々のものである。 謎解きの多くは最終的には楽曲入手につながるものであり、 ストーリー進行に必須の謎解きは一部分のみ。 攻略情報なしで全ての要素をコンプリートできる人はかなりの謎解きガチ勢ではなかろうか。 (一部の謎はゴリ押しによる突破が可能だが、それらも含め全て理詰めで解けるなら尚更である) 本作はピアノ演奏はDeemoが、城の探索は「女の子」(公式表記)が行っているという設定になっているので、 基本的にプレイヤーが操作するのは女の子である。ジャンプなどのアクション要素はない。 一部の謎解きではDeemoも活躍する。 クリア後の要素が少しあるが、周回要素などはない。 エンディング後はクリアフラグが立ったうえでエンディング前に戻る。エンディングには何度でも突入できる。 エンディングを見て、アイテムや楽譜を全て集めた後は、基本的にリズムゲームにいそしむのみとなる。 【良いと思った点】 ★音楽と絡めた謎解き 謎解きの一部には、音楽に絡めたものがある。 音符や和音など知識に関係する部分以外に、実際に音楽と連動させた仕掛けも一部に存在する。 (知識系のものは知っていればスムーズに進むが、知らなくても作中にヒントがある) 音楽に関係する謎解きは、本作がただの謎解きアドベンチャーではなく、 「リズムアドベンチャー」として根本に音ゲーがあることを意識させるものになっていて、 本作によく合った謎解きだと感じた。 ★3Dリメイクされたストーリー 原作では「絵本風」のファンタジー要素が打ち出されていて、 ストーリー面では台詞もなく、描写から読み取る必要があった。 それはそれで味があるし、いろいろと想像の余地もあっていいものなのだが、 3Dリメイクされたことでそのあたりの表情やストーリーの流れは読みやすくなった。 また、アドベンチャー部分も3Dになり、女の子の仕草も分かりやすくなった。 一部の仕草はすごく愛らしい。 ★ネコのぬいぐるみ 原作では割とぞんざいに扱われていた感があったが、Rebornでは1つの探索要素に。 このぬいぐるみの出自についてもストーリーで触れられるようになった他、 見つけたときに毎回異なるムービーが挿入されるようになった。一部酷い場所に配置されているのはご愛嬌。 このムービーがすごくよくて、とても心温まるものになっている。個人的には嬉しい追加要素だった。 なお、このぬいぐるみの名前は原作には出てきたが、Rebornでは間接的にしか出てこない。 ★原作意識の要素 Deemoの正体がエンディングで明かされるのは原作と同じだが、 RebornではDeemoの「本当の名前」については言及されない。原作では最後に言及されている。 ゆえに、原作をクリアしたプレイヤーでないと彼の本当の名前は知らない。 一方、終盤の謎解きでアルファベットが書かれた積み木を回転してはめ込み、特定の単語を作るものがあるのだが、 ここでDeemoの本当の名前を作ると「女の子」から特別な反応が返ってくる。 (他の不正解となる単語を作っても、「女の子」からの反応はない) 非常に芸コマである。 また、一部の仕掛けで原作のBGMが使用されている。 ★新しいプレイスタイル コントローラ操作による操作感はタッチ操作とは異なるもので、新鮮味があっていい。 DEEMO原作の、特にレベル11以上を冠するような高難易度譜面はぶっ飛んだ内容になっているが、 コントローラ操作の譜面も高難易度では他のコントローラー操作の音ゲーが顔面蒼白になるレベルの難易度となっている。 ノート数が「タッチ操作Hard<コントローラ操作Hard」になっている曲もザラにある。どうしてこうなった。 1つの曲を2通りのプレイスタイルで贅沢に楽しめる作品となっている。 ★長さの調整 原作には4分を超える曲が普通に収録されていて、最長は5分超という有様だったが、 Switch版Rebornでは長すぎる曲はなく、最長でも3分半程度になっていると思われ、遊びやすくなっている。 (PS4版RebornのDLCでは5分超のkouyouという曲が収録されているが、Switch版では同ブックから除外され、収録されていない) 平均は2分台後半であろう。 【気になった点】 ★電池消費量 なぜか他のゲームよりも電池が減りが速い。 100%充電していても、2時間もプレイしたら電池残量は残りわずかという状態になっている。 なぜ……? ★ロード時間の長さ 個人的に一番気になったところである。まず起動時のロードが長い。だいたい40秒ほど。 また、アドベンチャーパートで別の部屋に移動する時のロードも長い。場所にもよるが10秒前後。 一度行った部屋はメニューから選択すれば直接いけるようになるが、ロードが長いのでスピード感はない。 ★全体的にテンポの悪い仕様 「女の子」の移動速度は遅め。また、各種モーションも全体的にゆっくりで長い。 たとえば、本を調べるとき、Aで「調べる」をしたらそのまま本を詳しく調べる画面に移動するのではなく、 毎回「女の子」が本棚から本を取るモーションが入る。カット不可。 1回1回は10秒未満の短いものだが、いろんな本を参照しながら解く謎があるので煩わしく感じる。 また、タイトル表示やシステム的なアニメーションもカットできず、終わるまで操作不可。 ★不親切なインターフェース タッチ操作とコントローラ操作を切り替えたいとき、わざわざ設定から譜面モードを変えないといけない。 ブック(楽曲群)はキー押しっぱなしで高速で変えられるが、楽曲はキー押しっぱなしでもいちいち各項目でストップする。 一番右の曲から一番左の曲にジャンプできるループ仕様もない。 1ブックに収録されている楽曲は5曲前後であることが多いのでそこでは気にならないが、 22曲収録されているDeemo's Collection Vol.1などは端から端に移動するのにかなり時間がかかる。 ★選曲面 収録曲数122というのは決して少なくないが、 (発売からアップデートでどんどん追加されていった結果とはいえ)同程度の価格で300曲ほど収録されたSwitch版原作があるので、 どうしても見劣りする感は否めない。原作と同じ譜面があるのにExtraがないというのも拍車をかける。 まあ原作が椀飯振舞といえばそれまでである。また、1曲で遊べる譜面数はプレイモードの関係でこちらの方が多い。 原作のストーリー曲はだいたい収録されているのだが、V.K氏の曲は収録されていないのが残念。名曲が多いのに。 また、シナリオ内で使用される楽曲も変わっている。特にエンディングの最初のところ。 こちらの曲も良い曲なのだが、原作の同場面で使われているFで始まるあの曲に比べるとしっくり来ない……。 なお、原作には一部の曲でFC以上のスコアを取るとリザルト画面でイラストが変化するという演出があったが、 本作ではそれはなくなっているようだ……。 代わりに、イラストがアニメーションするようになっている。 【総評】 新たなプレイモードと、生まれ変わったアドベンチャーパートが魅力の作品。 Switch版ではタッチ操作は原作(のSwitch版)と同じ、コントローラ操作は新たなプレイ感があり、 新旧のよさを両方味わえる贅沢なゲームとなっている。 アドベンチャーパートは音楽に合わせた謎解きが特に光り、内容も非常に歯ごたえがある。 「リズムアドベンチャー」との名に偽りなく、音ゲーと謎解きが高いレベルで融合している。 テンポの悪さや、やや不親切な仕様などはあるが、「生まれ変わり(Reborn)」を称するに相応しい作品。 <執筆:izkdic @ 2021.01.27>